ヨーク研究所
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四柱推命

四柱推命の大運とは

今回は、四柱推命の大運についてご説明します。

大運とは

大運は、10年毎に巡って来る干支(かんし)で、個人によって巡って来る干支が異なります。

なお、年運(=流年)は1年毎に巡って来る干支で、北半球生まれの人なら誰でも同じです。

そして、大運の干支は、命式全体に大きな影響を与えます。

月支も命式全体に大きな影響力をもち、命式内の干支の力量(強さ)を判断する際に重要になります。

ただ、大運の干支は、命式全体に大きな影響を与えますが、命式の各干支の既に決まった力量(強さ)に被(かぶ)さるように作用する感じになります。

つまり、大運の干支は、それ自体で、月支のような「季節のエネルギー」を持ち、独自の「季節のエネルギー」を持った干支として命式全体に作用します、すなわち「生・剋・幇(ほう)」の働きをします。

ここで、幇(ほう)とは、扶(たす)ける働きのことです(または強める働きのこと)

また、大運の干支は、独自の「季節のエネルギー」を持ちますが、元々の命式の「季節のエネルギー」を変えることはないと言うことになります。(ここは流派により解釈が異なるかもしれません。)

まとめると、大運は10年毎に入れ替わる、命式の外からやって来る追加の作用と言うことにまります。

10年経つと、その大運の作用は消え、新たな大運の作用が10年間命式に追加されます。

なお、大運の干支も独自の「季節のエネルギー」を持ちますが、これは大運が月柱から導かられるためだと考えられます。

なお、年運も命式全体に作用しますが、命式と大運が作用しているその上に被(かぶ)さるように作用します。

そして、年運は「季節のエネルギー」という概念を持たないためか、大運の作用よりも命式への影響力が劣ると考えられています。(この辺は流派により解釈が異なるところです。)

なお、命式先天的な気質を、大運後天的な心身(挙動)の変化を表すとも言われています。

大運の導き方

大運は、月柱から導からますが、男性であるか女性であるかによって、さらには、年柱の天干の陰陽によって、その巡(めぐ)り方が異なります。

例えば、男性で命式が次のような場合、

  • 時 日 月 年
  • 癸 癸  
  • 亥 亥  辰

年干が陽干なので、大運の巡りは次のように60干支の順番通りの巡り(順行=順旋)になります。

  • 0    13 23 33 43 53 63 73 83 (歳)
  •   辛  壬  癸  甲  乙  丙  丁  戊  己
  •   未  申  酉  戌  亥  子  丑  寅  卯

つまり、月柱の「庚午」を起点として、60干支の順番通りに大運が巡ることになります。

天干の順行とは、甲→乙→丙→丁→戊→己→庚→辛→壬→癸→甲の順番です。

地支の順行とは、子→丑→寅→卯→辰→巳→午→未→申→酉→戌→亥→子の順番です。

そして、0歳から3歳未満までが「庚午」の大運で(この期間は大運と呼ばないことも)、

03歳から13歳未満までの10年が「辛未」の大運(これが最初の大運になります)、

13歳から23歳未満までの10年が「壬申」の大運、

23歳から33歳未満までの10年が「癸酉」の大運、・・・・となります。

ここで、最初の3歳という数字がどのように計算されたかは、四柱推命の書籍やYouTubeなどをご覧下さい。ただ、web上にある信頼性の高い四柱推命のサイトを利用すると、自分で計算しなくても最初の大運の年齢を自動で出してくれます。

次に、上の命式が女性のものならば、年干が陽干なので、大運の巡り方が逆行になります。

つまり、大運は次のような逆順の巡りになります:

  • 0    17 27 37 47 57 67 77 87 (歳)
  •   己  戊  丁  丙  乙  甲  癸  壬  辛
  •   巳  辰  卯  寅  丑  子  亥  戌  酉

また、男性で、年干陰干であったならば、大運の巡り方は逆行(逆旋)になります。

また、女性で、年干が陰干であったならば、大運の巡り方は順行になります。

まとめますと、

  • 男性で、日干が陽干ならば、大運の巡り方は順行(順旋)
  • 男性で、日干が陰干ならば、大運の巡り方は逆行(逆旋)
  • 女性で、日干が陽干ならば、大運の巡り方は逆行(逆旋)
  • 女性で、日干が陰干ならば、大運の巡り方は順行(順旋)

と言うことになります。

なお、年運(流年)は、男性でも女性でも同じで、全員が順行の干支の巡りになります。

余談:日干が大運の巡り方に関わる理由

男性で日干が陽干の場合、大運は順行しますが、これは、男性の陽の性質と、陽干の持つ発展・前進するエネルギーが重なるため、人生がより力強く未来に向かって進んで行くと考えられているからであるそうです。

陽=未来志向と言うことでしょうか。陽×陽=陽=順行=陰×陰=陽と言うことでしょうか。

一方、男性でも日干が陰干の場合は、その穏やかで内向的な性質から、過去から積み重ねてきたものに基づいて未来を築いて行くという「逆行の運気」が与えられるそうです。

陰=過去志向と言うことでしょうか。陽×陰=陰=逆行=陰×陽=陰と言うことでしょうか。

なお、大運の巡り方を決定する際に年干の陰陽が重要視される理由は、年干がその人の一生の全体的なエネルギーの基調を反映すると考えられているためであるそうです。

日干、月干、時干も重要な要素ですが、それぞれが反映するのは特定の時期や(自分や他者との)関係であり、個人の一生全体に対する影響力が年干ほど一貫していないため、大運の巡り方の基準としては適していないそうです。

  • 年干は、その人の命式の出発点であり、生まれた年の干支を表します.
  • 年干は、その人の一生全体にわたる基調となるエネルギーを示しているそうです.
  • 年干は、生涯を通じて変わらない要素であり、個人の運命に対する安定した影響力を持つそうです.
  • 年干の陰陽は、その人の生まれ持った基本的なエネルギーパターンや性質を反映しているそうです.

大運の起源

大運という概念がどのようにして誕生したのか、その明確な資料や記録は残っていないそうです。

ゆえに、以下は大運の起源についての推論になります。

当初は、四柱八字(命式)のみで運命を占っていましたが、人間の運命(挙動)は、時間と共に変化して行くという現実を反映するために、時間の概念が導入されたそうです。

その結果、四柱八字(命式)の影響に加え、その後の人生における運気(挙動)の流れを、より詳細に分析する必要性が生まれたそうです。

この運気の流れを十年単位で区切って表すものが「大運」になって行ったと考えられるようです。

また、古代中国では、暦法と天文観測は重要な国家事業であったそうです。

暦の作成や天文現象の観測を通じて、天体の運行と地上における人間の運命との間に何らかの関連性があるという考えが生まれ、それが大運の概念に影響を与えた可能性があるようです。

具体的に言うと、古代の人々は、木星が太陽を一周するのに約12年かかることから、これを人間の平均寿命と関連付け、12年を一つの周期として人生の運気を考えるようになったようです。

確かに、地支は12種類(子、丑、寅、卯、…、亥)あり、大運では一つの地支が10年毎に変化するので、12種類全てが巡るとすると、地支が一周するのに120年かかる計算になります。

なお、生命科学の統計的な観察によると人間の最大寿命は約120年であると推定されています。

なお、大運が10年を一つの単位として計算されるようになったのは、上述の12年と60個ある干支が関係しているようです。天干が10個あることも一因ですが、それだけではないようです。

また、興味深いことに、ヒトの体内において生理的および行動的な周期性(リズム)を示す臓器やシステムは、以下のように全て五行に分類できます。

  •    :サーカディアンリズム(概日リズム)         :木の五行
  • 肝臓  :代謝リズム                    :木の五行
  • 心臓  :心拍リズム                    :火の五行
  • 皮膚  :細胞再生のリズム                 :土の五行
  • 消化器系:消化酵素とホルモンのリズム            :土の五行
  •    :腸内細菌叢のリズム、消化酵素とホルモンの分泌リズム:金の五行
  • 免疫系 :免疫反応のリズム                 :金の五行
  • 腎臓  :尿生成のリズム                  :水の五行
  • 内分泌系:ホルモン分泌のリズム               :水の五行

これらの臓器やシステムは、サーカディアンリズム(概日リズム)に従って機能し、体内の生理的プロセスを調整しているそうです。

大運というリズム(波・時間変化)は、これらの体内のリズムに関係したものなのかもしれません。

なお、サーカディアンリズム(概日リズム)とは、約24時間周期で繰り返される生物の生理的、行動的リズムのことを指します。

このリズムは、内在する生物時計によって制御され、外部環境の変化(特に光と暗闇のサイクル)によって同調されるそうです。

なお、生物時計は、遺伝子、RNA、およびタンパク質のフィードバックループ(=結果が原因に影響する循環)によって構成されているそうです。

これらのフィードバックループは、遺伝子の発現を調整し、リズムを生み出すそうです。

例えば、時計遺伝子は、特定のタンパク質を生成し、これらのタンパク質が再び時計遺伝子の発現を抑制するというフィードバックループを形成するそうです。

このプロセスは約24時間周期で繰り返されるそうです。

補足説明的な文章が長くなりましたが、将来的には、大運に対応する約10年スパンの長期的な体内リズムも科学的に発見されるかもしれません。

大運の解釈

大運の解釈の仕方は、流派や鑑定士個人により様々な読み取り方があると思います。

また、ご相談内容によっても、大運の情報の読み取り方が違って来ると思います。

陰陽五行論では、五行のバランス(や陰陽のバランス)を取ることが望ましいとされます。

この原理に基づいて、大運を解釈するのも、一つの方法だと思います。

なお、私が参考にしている大運の読み取り方は、小山内彰(著)『基礎から最高峰を目指す 四柱推命の本』(上・下巻)(2019)(YouTubeあり)に記述されている方法です。