今回は「宇宙の始まり」について調べました。
というのは「ビックバンで生じた素粒子が、138億年かけて知的生命体という形態に辿り着き、『宇宙の始まり』について論じているというのはどういうことか?」という疑問について考えてみたいからです。今回はその準備になります。
哲学的疑問の紹介
まず、私の疑問を比喩的に説明したいと思います。
例えば、洗濯機の中に、いくつかの小さなビーズ、水、「4つの力」を入れ、洗濯機を回したとします。
暫くすると、ビーズは全て溶けてしまいました。
さらに、光、熱水、酸素なども適度に加え回していたら、いつの間にかに、洗濯機の中に非常に小さな生命体が出来ていました。
驚くべきことに、その小さな生命体は、自分が洗濯機の中でビーズから生まれたことを知っていました。
以上のような例え話があったとします。この時、色々と不思議だと思うことがあると思いますが、私は次のことが気になりました。
まず、無生物のビーズが、なぜ生物になったのでしょうか。
偶然、ビーズは生物になったのでしょうか。それとも、生物になるようにプログラムされていたのでしょうか。
次に、その生命体は、なぜ自身がビーズから生まれたことを認識できるのでしょうか。
つまり、無生物のビーズは自分がビーズだとは認識できませんが、ビーズから生まれたその生命体はビーズを認識できるのです。
余談
余談になりますが、その生命体は、まだ洗濯機を回したモノの存在には気づいていないようです。
また、その生命体は、洗濯機の存在には気づいたようですが、洗濯機の仕組みについては理解していないようです。
宇宙の始まり
私は宇宙論の専門ではありませんが、「宇宙の始まり」について簡単に調べてみましたので、ここで簡単に説明してみたいと思います。間違っていたら、すみません。
なお、文部科学省の『一家に1枚』というwebページには、宇宙図2018(や宇宙図2013)という項目があり、その図に「宇宙の始まり」などが分かり易く解説されています。
インフレーション
宇宙の本当の始まりは、まだ解明されていないと思いますが、約138億年前に、宇宙は「無」から生まれたという説があるようです。
ここで「無」とは、空間も時間も素粒子もない世界のことです。我々の知る現在の物理法則が成り立っているのかさえ分からない世界のことだと思います。
その「無」の中で無数の小さな宇宙(10-34cmくらいのサイズ)が生まれては消えていたようですが、その小さな宇宙の1つはたまたま膨大な「真空のエネルギー」をもって生まれたためか、消えずに自身つまり宇宙を急激に加速膨張させ、宇宙に(古典力学的な)空間や時間を創り出したということらしいです。
この時の急激な宇宙の加速膨張をインフレーションと呼ぶようです。ただ、急激に加速膨張したと言っても、インフレーション後も宇宙はまだまだ小さく半径3cmくらいのサイズだったようです。
なお、インフレーションは一瞬の出来事であったようです。つまり、宇宙誕生後10-36秒から10-34秒の間の出来事であったようです。
また、「真空のエネルギー」に満ちた空間が膨張することは、一般相対性理論により証明できるようです。
ビックバン
生まれたばかりの極小宇宙は、その膨大な「真空のエネルギー」を自身の急激な加速膨張に使っていたのですが、宇宙空間がある程度の大きさ(半径3cmくらい)になると、今度は「真空のエネルギー」が熱としてその小さな宇宙空間に解放されたようです。
そして、熱が解放された宇宙空間は、超高温・超高密度の火の玉のような状態になったようです。この「火の玉のような状態」をビックバンと呼ぶようです。
ビックバンというと、大爆発というイメージがありますが、大爆発というよりは、熱エネルギーが大量の素粒子(素粒子と反素粒子)の生成を引き起こし、大量の素粒子と反素粒子の生成と消滅で煮えくり返った宇宙の状態をビックバンというようです。
なお、素粒子と反素粒子が衝突すると、対消滅し再びエネルギー(光子)になります。
ビックバン中も宇宙空間は膨張していますが、インフレーションのような指数関数的な加速膨張ではなく、光速の約60倍で膨張していたようです。そして、その膨張する速度は、ある時点まで、次第に下がって行ったようです。
素粒子と反素粒子で煮えくり返った状態になっていた宇宙ですが、「対称性の破れ」などにより(実はまだ未解明ですが)、反素粒子は宇宙空間に有効な存在として残らず、素粒子のみが宇宙に有効な存在として残ります。
原子核の誕生
そして、ビックバンの始まりから3分の間に、クォークと呼ばれる素粒子たちが結び付き、陽子や中性子になり、その陽子と中性子がさらに結び付き、水素やヘリウムの原子核になったようです。
なお、ビックバンの証拠は観測により確認されていますが、インフレーションはそのように仮定すると、色々と観測や理論のつじつまが合うモノのようです。ただ、インフレーションの裏付けも少しずつ進んでいるようです。
また、現在の物理学では、宇宙には4つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)しか存在しないと考えられていますが、極小の宇宙が誕生した直後は、1つの力しか存在しなかった(4つの力は統一されていた)と考えられているようです。
引用元:モラロジー研究 No.62,2008; 伊東俊太郎著, 講演論文『創発自己組織系としての自然』より
宇宙誕生後、
- 10-44秒後に重力とその他の力(電磁気力、強い力、弱い力)が分離し、
- 10-36秒後に強い力とその他の力(電磁気力、弱い力)が分離し、
- 10-11秒後に弱い力と電磁気力が分離したようです。
なお、強い力はクォーク同士を結び付ける力で、言わば原子核を形成するための力です。
また、弱い力はクォークやレプトンの間に働く力で、それら素粒子の種類を変えることができます。核分裂や核融合において重要な役割を果たしています。
原子の誕生
ビックバンの始まりから約38万年経つと、宇宙空間がだいぶ膨張して広がったことで、宇宙の温度は約3千℃まで下がります。
すると、それまでは激しく飛び回っていた電子と原子核が結び付くようになり、結果、原子になったようです。
なお、この時に誕生した原子は、主に水素とヘリウムです。
様々な原子の誕生
その後は、重力により、原子が集められ、長い時間(約3~4億年)をかけて星(恒星)になりました。
星(恒星)の内部では、核融合により、水素やヘリウムよりも重い原子(C, N, O, Mg, Si, Al, P, Ca, Feなど)が創り出されたようです。
そして、星が超新星爆発を起こすことで、星の内部で創られた原子は、宇宙空間に飛び散りました。しかし、再び重力により、散らばった原子は集められ、星になります。そして、再び超新星爆発を起こすということを繰り返していたようです。
なお、重い星が超新星爆発すると、その中心にブラックホールや中性子星が残ることもあります。
鉄より重い原子(金、銀、プラチナ、ウランなど)は、核の安定性の関係でシンプルな核融合では生成され難いようです。そのため、鉄より重い原子がどのように創り出されたのかは解明されていないようですが、超新星爆発の時か中性子星同士の合体の時に創られた可能性が高いようです。
ダークエネルギーとダークマター
これまで「宇宙の始まり」について簡単に説明してきましたが、まだ解明されていないことも沢山あります。その代表的存在がダークエネルギーとダークマターです。
ダークエネルギー
実は、現在の宇宙は、加速膨張しており、そのことを説明するには、ダークエネルギーという未知の存在が必要になります。
ビックバン以来、宇宙は緩やかに減速膨張していました(膨張する速度が遅くなっていました)が、ビックバンから約68~78億年経った時点から宇宙の膨張する速度が加速していることが観測から明らかになりました。
この観測事実を説明するためには、引力である重力とは反対に、宇宙空間を押し広げようとする力(つまり斥力)が一様に働いている必要があります。そこで今のところ、その斥力の原因となる未知の存在を、ダークエネルギーと呼んでいます。
なお、ダークエネルギーは、初期の宇宙がもっていた「真空のエネルギー」とは関連がないようです。初期の宇宙がもっていた「真空のエネルギー」は、現在の宇宙では、全て使い果たされていると考えられているようです。
ダークマター
先ほど、重力により、原子が集められ、星になったと説明しましたが、実は、重力だけで原子が集められた訳ではないかもしれないのです。
星が多数集まると、銀河になりますが、銀河の回転速度は、重力だけでは説明できないことが分かって来ました。この問題を解決するために仮定されたのが、ダークマターという未知の物質です。
ダークマターは、電磁波では観測できない物質で、質量をもっており、銀河や銀河団の中で重力による相互作用のバランスをとっていると考えられています。
現在では、初期の宇宙には既にダークマターが存在したと考えられているようです。そして、ダークマター同士の間には重力(引力)が働くため、ダークマターが集まる場所では、さらに多くのダークマターが集まって行ったようです。
すると今度は、ダークマターが濃く分布する場所では、ダークマターが作る重力により、原子や分子などのガスが徐々に引き寄せられ、やがて、そこに初期の星や銀河が生まれたと考えられているようです。
おまけの哲学
ここでは「宇宙の始まり」を人間の活動や生活に射影してみたいと思います。とは言え、ただ思い付いたことを列挙しただけになります。
- 人間の活動(又は生活)の中で、「無」は何に対応するのか?
- 人間の活動(又は生活)の中で、インフレーションは何に対応するのか?
- 人間の活動(又は生活)の中で、ビックバンは何に対応するのか?
- 重力(引力)を生み出す人物
- 斥力(反発力)を生み出す人物
- ダークマターな人物
- 「集まる」とは?
- 「集める」とは?
- 好きな物を集めただけで、それらが核融合を起こし、光り輝くかもしれない
- 集まっただけでシステムが出来るのか?
- 初期の宇宙に見られるシステムは人間の活動などに反映されていないのか?