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四柱推命

陰陽論の「陰」と「陽」の意味

今回は、陰陽論における「陰」と「陽」の意味をご紹介します。

陰陽論とは

陰陽論(いんようろん)は、中国古代の哲学思想で、世界の全ての現象や事物を「陰」と「陽」の二つの相反する言葉区別(分節)することで、混沌とした複雑な世界を認識しようとする理論です。

陰と陽は相互に関連し合い、補完し合いながらバランスを保つことで調和を生み出すと考えられています。

陰陽の基本的な性質は次のようにまとめられます。

対立: 陰と陽は「対立した関係」や「真逆の関係」または「反対の関係」にあります。例えば、明と暗、強と弱、寒さと暑さ、表と裏、湿潤と乾燥、黒と白などです。

互根(ごこん): 陰と陽は互いに根源を共有しており、それぞれ独立したものではなく、互いに依存し合い、比較によって成り立っています。一方が存在するためには必ずもう一方が存在します。どちらか一方のみが存在することはありません。簡単に言うと「陰(冷たい)があるから陽(熱い)がある」と言うことになります。

消長(しょうちょう): 陰と陽は常に量的に変化しており、一方が増えればもう一方が減り、一定の均衡を保とうとします。

転化(てんか): 陰と陽は常に質的に変化しており、互いに質が入れ替わります。例えば、夜は陰ですが、夜明けと共に陽へと移(うつ)ろって行きます。つまり「陰極(きわ)まれば陽になり、陽極(きわ)まれば陰になる」と言うことになります。

「過ぎると意味(価値)を無くし、不足は意味(価値)を生む」と言うことでしょうか。

なお、藤田紘一郎(著)『脳はバカ、腸はかしこい: 腸を鍛えたら、脳がよくなった』(三笠書房, 2019)によると、バリ島には

世界は善と悪とのバランスの上に成立し、お互いに相反するものは拮抗し続ける

という世界観があるそうです。そして、

腸内細菌も同じで、「善玉菌」と「悪玉菌」と呼ばれるものが絶妙なバランスをとり拮抗しながら、私たちの健康を守ってくれているそうです。

(ただ、大腸内における善玉菌、悪玉菌、日和見菌の存在比率は、20、10、70ぐらいであるそうなので、ご注意下さい。)

陰と陽の意味

陰陽論では「陰」と「陽」に具体的に次のような意味が与えられています。

陰=受動的、静的、下降する力、収斂感性、感受性、メス、柔軟性(柔)、内向性

陽=能動的、動的、上昇する力、拡大、理性、排他性、オス、強硬性(剛)、外向性

四柱推命では次のような陰陽の性質(イメージ)も役に立つかもしれません。

陰=量、小、共感、混同、遠慮、破壊、依存、協調、仲間、断続的、贔屓専用、動揺

陽=質、大、反発、区別、強引、創造、自立、独走、孤立、連続的、公平、汎用、安定

さらに、次の対比も四柱推命では実用的かもしれません。

陰=弱、繊細、小心、敏感、神経質、ソフトな性格、謙虚で慎ましい、素直、癒し

陽=強、豪快、大胆、鈍感、大らか、ハードな性格、プライドが高い、頑な、害悪

以前の記事でご紹介した10個の天干には次のように陰陽が割り当てられています。

  • 甲(きのえ) :木の陽
  • 乙(きのと) :木の陰
  • 丙(ひのえ) :火の陽
  • 丁(ひのと) :火の陰
  • 戊(つちのえ):土の陽
  • 己(つちのと):土の陰
  • 庚(かのえ) :金の陽
  • 辛(かのと) :金の陰
  • 壬(みずのえ):水の陽
  • 癸(みずのと):水の陰

なお、命式(八字)の天干が全て陰干の人は、ソフトでデリケートな感じになるようです。

逆に、全て陽干の人は、理詰めタイプで強引かつ強力(強烈)な感じになるようです。

男性の場合、天干が全て陽干だと良くない方に天干の性質(事象)が出やすいようです。

男性自体が「陽」に分類されるので、そこにさらに陽が多いとなると、良くない方向に天干が働いてしまうようです。

女性の場合、天干が全て陽干だとキャリアウーマンのような男性気質をもった感じになるようです。

女性自体が「陰」に分類されるので、陰陽のバランスが取れ、天干の働きが良い方に出やすいようです。魅力的な女性になると言われています。

さらに、五行の木と火は「陽」に分類され、五行の金と水は「陰」に分類されます。

陽に分類される五行=甲、乙、丙、丁 =成長発展・上昇志向・活動的・積極的・開放的

陰に分類される五行=庚、辛、壬、癸 =冷静沈着・深い探究・特殊化・控え目・閉鎖的

つまりは、陽干で陽に分類される「丙」が最も陽気質で、陰干で陰に分類される「癸」が最も陰気質であるようです。

四柱推命で陰陽が大切になる場面

四柱推命で天干の陰陽が大切になる場面は、日干の強弱を判断する時だと言われています。

例えば、日干が陽干(甲)である時、陰干(癸)に生じられるのか、それとも陽干(壬)に生じられるのかで「力量の差」が出るようです:

〇 甲 癸 〇  陰干から生じられる=力量的にそれほど助けにならない

〇 甲 壬 〇  陽干から生じられる=力量的に助けになる

一方で、日干が陰干(乙)である時、陰干(癸)に生じられるのか、それとも陽干(壬)に生じられるのかで「力量の差」が出るようです:

〇 乙 癸 〇  陰干から生じられる=力量的に助けになる

〇 乙 壬 〇  陽干から生じられる=力量的に大いに助けになる

ただ、実際の性格判断において、これらの「力量の差」が「気質や特徴の差」を生み出しているのかは、微妙なところだと思っています。

つまり、生じられる力量に差があっても、実際に発現する「印」の気質や特徴としては差があまり出ないのかもしれません。

なお、日干の力量が周囲の干によって強められば、日干は強に

一方、日干の力量が周囲の干によって弱められば、日干は弱になります。

「日干の強弱」と「性格上の強弱(強気な性格、弱気な性格)」はあまり関係がないようです。

実際のところ、「日干が弱」だからと言って、「弱気な性格」とは限らないようです。

また、日干の強弱は、健康面を推命する際に特に重要になるそうです。

おまけ:二項対立と対称性

AI(Gemini1.5Pro)に次の質問をしてみました。

私:二項対立と対称性には何か関連性がありますか。

AI:二項対立と対称性は、一見異なる概念に見えますが、実は密接な関連性があります。

1. 二項対立が対称性を前提とすること
二項対立とは、互いに反対の意味を持つ二つの項が対になって、世界や概念を理解しようとする思考様式です。
例えば、「男 vs 女」「善 vs 悪」「光 vs 影」「理性 vs 感性」などがあります。
これらの対立項は、完全に異質なものとして捉えられることもありますが、多くの場合、共通の基盤や比較の基準を共有している点が重要です。
例えば、「光 vs 影」は、光という共通の要素があり、その存在の有無や強弱によって区別されています。これは、両者が対称的な関係にあるからこそ成り立ちます。
つまり、二項対立は、対称性を前提として初めて成立する概念と言えるでしょう。

2. 対称性の破れが新たな二項対立を生むこと
一方で、完璧な対称性は、現実の世界にはほとんど存在しません。自然界や人間の思考、社会構造など、あらゆるレベルで対称性の「破れ」 が見られます。
そして、この「対称性の破れ」こそが、新たな二項対立を生み出す原動力ともなります。
例えば、物理学では、かつて宇宙は物質と反物質が対称的に存在すると考えられていましたが、実際には物質の方が圧倒的に多く、反物質はほとんど存在しません。
この「対称性の破れ」の謎を解明することが、現代物理学の大きな課題となっています。
また、社会構造においても、「男 vs 女」という二項対立は、完全な対称性を持ちません。
歴史的に男性が優位な立場に置かれてきた結果、様々な不平等や差別が生じてきました。
このように、対称性の破れは、新たな問題や対立軸を生み出し、社会変革の契機となることもあります。

3. まとめ
二項対立と対称性は、表裏一体の関係と言えるでしょう。
二項対立は、対称性を前提として成立する。
しかし、完全な対称性はこの世界には存在せず、常に「破れ」が存在する
対称性の破れは、新たな二項対立を生み出し、世界を変化させる原動力となる
このように、二項対立と対称性は、互いに影響を与え合いながら、私たちの思考や世界を形作っています。

対称性(対の関係)が成り立っているはずだと仮定することで、見えていなかった(認識されていなかった)もう片方が浮き彫りになることがあります。

物理学では、対称性は新しい理論を構築するための重要な羅針盤(指針)となっていますが、四柱推命でも対称性(対の関係)を利用することでより本質的なことが分かって来ることもあるのかもしれません。