今回は、四柱推命の「天干」と「地支」には、どのような意味が当てはめれているのかを考えてみたいと思います。
四柱推命とは
四柱推命は、古代中国の陰陽五行論に基づく占術です。
四柱推命では、人の生年月日と生まれた時間を8つの漢字に変換します。
- 1888年8月8日午前8時00分
- ↓
- 〇 〇 〇 〇 ←――左端の緑の点は無視して下さい.
- 〇 〇 〇 〇 ←――この〇に漢字一字が入ります.
ゆえに、中国では四柱推命は「八字」と呼ばれることがあります。
そして、その八字から情報を読み取ることによって、または、その八字を様々な視点から解釈することによって、その人の
- 気質(先天的な性格)
- 思考や行動の傾向
- 特徴・特技・価値観
- 得意なこと・苦手なこと
- 体調(病気に注意な時期)
- 人生の波・人生の転換期
- 将来の可能性
- 将来の方向性(山と谷のリズム、バイオリズム?)
- お悩みの根元
などを推命します。
なお、八字の解釈には700年前位から様々なものがありますが、未だ絶対的な(完全な)解釈はないように思われます。
ゆえに、四柱推命の鑑定士によって、真逆の判断や解釈がなされることもあります。
最も本質的で普遍的な解釈または八字からの最も普遍的な情報の引き出し方を見出すべく、四柱推命は今でも研究され続けています。
八字と干支
八字では「干支(かんし)」と呼ばれる「2つの漢字のペア」が1つの単位になります。
例えば、ある「干支」は次のように表せます。
- 甲 ←――左端の緑の点は無視して下さい.
- 子
上にある「甲(きのえ)」は「天干(てんかん)」と呼ばれます。
下にある「子(ね)」は「地支(ちし)」と呼ばれます。
そして「天干」には次の10種類があります。
- 甲(きのえ) :木の五行
- 乙(きのと) :木の五行
- 丙(ひのえ) :火の五行
- 丁(ひのと) :火の五行
- 戊(つちのえ) :土の五行
- 己(つちのと) :土の五行
- 庚(かのえ) :金の五行
- 辛(かのと) :金の五行
- 壬(みずのえ) :水の五行
- 癸(みずのと) :水の五行
また「地支」には次の12種類があります。
- 子(ね) :水の五行
- 丑(うし) :土の五行
- 寅(とら) :木の五行
- 卯(う) :木の五行
- 辰(たつ) :土の五行
- 巳(み) :火の五行
- 午(うま) :火の五行
- 未(ひつじ) :土の五行
- 申(さる) :金の五行
- 酉(とり) :金の五行
- 戌(いぬ) :土の五行
- 亥(い) :水の五行
そして、八字は次のように4つの干支で表現されます:
- 甲 癸 壬 壬 ←――左端の緑の点は無視して下さい.
- 寅 未 子 寅
つまり、この八字は右から「壬寅」「壬子」「癸未」「甲寅」という4つの干支で構成されています。
なお、干支は全部で60種類あります。次のように書き出すことができます。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14…59 60
- 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸 甲 乙 丙 丁 …壬 癸
- 子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥 子 丑 …戌 亥
61番目の干支は1番目の干支「甲子」に一致します。
つまり、干支は60個で一周し、以後も地球の年月日時を表すために循環し続けます。
なお、干支の巡りは地球の公転と自転に厳格に対応付けられています。
つまり、干支の巡り(つまり八字)は人間が頭の中で作り出した概念ではありません。客観性があります。
天干と地支の意味
ここからが本題になりますが、なぜ「干支」は「2つの漢字のペア」で1つの単位なのでしょうか。
古くから(易経?)、
- 天(天干)は「太陽・気象・宇宙」を表し、
- 地(地支)は「地球・地理・地形」を表している
と言われているようです。
そして、人は天と地の両方の影響を受けながら生きていると言う解釈いわゆる天地人の考え方があるようです。
そこで、さらに詳しく知るためAI(Gemini1.5Pro)に天地人について尋ねてみました。
私:易経の天地人とは、どういうことですか。教えて下さい。
AI:易経において、天地人は、この世界を構成する3つの基本要素、そしてその相互作用によって万物が変化発展していく様を表しています。
それぞれが象徴するものは以下の通りです。
-
天 (てん): 自然の法則、宇宙の摂理、時の流れ、運命などを象徴します。人間にはコントロールできない絶対的な力を持ちます。
-
地 (ち): 大地、自然環境、現実社会、状況などを象徴します。天の影響を受けながらも、具体的な形を持つ世界です。
-
人 (じん): 人間、個人の意志、努力、選択などを象徴します。天と地の影響を受けながら、自らの行動によって運命を切り開いていく存在です。
易経では、この天地人が互いに影響し合い、変化を生み出していくと考えられています。
-
天は、その法則によって地や人に影響を与えます。
-
地は、天の影響を受けながら、人々の生活の場を提供します。
-
人は、天と地の影響を受けながらも、自らの意志で行動し、変化を生み出します。
つまり、易経は 「天地人」の三位一体 によって世界が成り立ち、変化していくという考え方を示しています。
具体例として、下記のような解釈が考えられます。
-
農業: 天候(天)と土壌(地)に合わせて、人は種まきや収穫などの農業活動(人)を行います。
-
人間関係: 社会的なルールや常識(天)、置かれている環境や状況(地)を踏まえ、人はそれぞれコミュニケーションを取り、関係性を築いていきます(人)。
易経では、この天地人の関係を読み解くことで、物事の変化を予測し、より良い方向へと導くための指針を得ることができるとされています。
AIの回答である地(地支)の意味は八字の解釈に使えそうです。つまり、
地支={ 置かれている環境や状況、生活の場、自然環境 }
と解釈しても良いのかもしれません。
一方で、天の意味は八字の解釈に使えないような気がします。
なぜなら、八字は個人の気質や傾向を表しているはずだからです。ただ、
天干=先天性(=自分では制御できない絶対的な(法則的な)行動や思考の傾向)が強い
と解釈できるのかもしれません。すると、
地支=後天性が強い
なのかもしれません。
また、私が四柱推命の書籍やYouTubeなどで研究した結果、「天干」と「地支」の大まかな意味は次のようにまとめられそうです。
天干=活動実態(挙動・創発)、顕在的なもの、前景、意識、精神、結果=実、速い反応
地支=活動基盤(家庭・健康)、潜在的なもの、後景、身体、物質、原因=根、遅い反応
ここで、創発とは「構成要素間の相互作用のために、構成要素の性質がその単純な総和に留まらず全く新たな全体として現れ出ること」です。
さらには、
天干=重力の世界 =引力のみがある比較的単純な世界、宇宙、タンパク質=働き
地支=電磁気力の世界=引力と斥力が織りなす複雑な世界、生命、DNA =本体
という解釈もできるかもしれません。(なお、斥力(せきりょく)=反発力です。)
なお、物理学によれば、この宇宙には、4つの力(=重力、電磁気力、強い核力、弱い核力)しか存在しないそうです。
ここで、強い核力と弱い核力は、原子核の形成や変化に関わる力です。
つまりは、地支=電磁気力の世界というのは、重力以外の3つの力の世界のことになると思います。
さらに、物理学的な連想(関連付け)を続けると、
天干=重力理論=一般相対論
地支=量子力学=量子場の理論=標準理論
という対応関係も出て来ますが、一般相対論で意識や精神は説明できないので、この連想は間違っていると思います。
ただ、天干と地支でこの世界が成り立っているとすれば、なかなか面白い関連付けかもしれません。
なお、人類は未だ一般相対論と標準理論を統一する理論を構築できていません。
ただ、超弦理論は今のところその統一理論の有力候補であると考えられています。
天干と地支は統一できないので「2つの漢字のペア」で1つの干支なのかもしれません。
つまり、陰陽論の考え方がここで登場することになります。
陰陽論の考え方とは、次のようなものです。
「混沌」から生まれた「陰」と「陽」は、基本的には対立した・相反した概念なのですが、
「陰」がその極致に達すると、「陰」の中に「陽」が生まれます。逆に、
「陽」がその極致に達すると、「陽」の中に「陰」が生まれます。
「陰」と「陽」は、常に共存していて、実は通じている・循環しているもので、「陰」と「陽」は完全には分離も融合もできません。
陰陽論の考え方を持ち出すと、
天干=陽
地支=陰
と言うことになるようです。「陰」と「陽」の意味については別の記事でご説明します。
余談:干支とDNA
「なぜ干支は『2つの漢字のペア』で1つの単位なのか」という問いと似た問いに「なぜDNAは二本鎖なのか」という問いがあります。
以前の記事でご紹介させて頂いたように、DNAは、2本の鎖がねじれた二重らせん構造をしていますが、これは情報をコピーするためであるそうです。
細胞分裂の際に、二重らせんが一旦ほぐれて、一本の鎖から、鏡のようにもう一本の鎖が複製される(コピーされる)そうです。
また、二本鎖では、塩基同士がくっ付き合うので、他の余計な分子とはくっ付かなくなり、強度も上がるそうです。
また、どちらかの一部に破損や変異が起きても、正常なもう一方があることで修復することができるそうです。
ちなみに、DNAの二本の鎖は同じ遺伝情報を持っていますが、塩基の部分の違いによって区別することもできるようです。
これらの理由(答え)を「干支の問い」に適応できるでしょうか。
確かに、干支が「2つの漢字のペア」で1つなのは、強度つまり「天干の強弱」を表すことに関係しているかもしれません。
情報のコピーには関係していないと思いますが、「2つの漢字のペア」になることでより複雑な情報を伝えることができるのかしれません。
修復にも直接的には関係していないと思いますが、やはり天干と地支は互いに補い合っているのかもしれません。
考察:干支と歯(上級者向け)
「なぜ干支は『2つの漢字のペア』で1つの単位なのか」という問いは、「歯にはなぜ上の歯と下の歯があるのか」という問いに関連付ける(対応付ける・紐付ける)ことができるかもしれません。
確かに、「上の歯しかない生物」や「下の歯しかない生物」はほぼいないと思います。
歯が歯として機能するためには、上下の歯が必要だと考えられます。
つまり、干支も「天干しかない干支」や「地支しかない干支」はないのだと推測されます。
干支が干支として機能するためには、天干と地支の両方が必要だと考えられます。
歯は食べ物を咀嚼(そしゃく)することが主な機能ですが、
干支は世界(環境・人生)や人生経験を咀嚼することが主な機能なのかもしれません。
また、
前歯(切歯と犬歯)には、食べ物を切り裂き、引き裂く役割があり、
奥歯(小臼歯と大臼歯)には、食べ物をすり潰し、細かくする役割があるそうです。
すると、
前歯は年柱と月柱の干支に対応し、
奥歯は日柱と時柱の干支に対応するのかもしれません。(柱についてはこちら)
よって、年柱と月柱は人生の意味や価値を理解するための最前線で、
日柱と時柱は人生の意味や価値を理解するための銃後(じゅうご)なのかもしれません。
(銃後=戦場の後方。直接戦闘に加わらない一般国民。武器を扱う将兵及びその精神)
また、大運は、「虫歯」や「歯磨き」または「歯の治療」や「歯の生え変わり(乳歯から永久歯への変化)」に対応するものなのかもしれません。
なお、上級者向けの話になりますが、暗号異常干支のような干支は「噛み合わせの悪さ(上下の歯が非協力的)」に関係しているのかもしれません。
一方で、通根や透干は「噛み合わせの良さ(上下の歯が協力的)」に関係しているのかもしれません。
ただ、この「噛み合わせの悪さ」は凶になることもあると思いますが、天才性(不確実性)を秘めていることもあると思います。
一方で、「噛み合わせの良さ」は吉になることもあると思いますが、凡庸性(確実性)を秘めていることもあると思います。
なお、上の歯は通常、下の歯よりも若干外側に位置しているそうです。
ゆえに、地支(=下の歯)よりも天干(=上の歯)の方が他者から見れば目立つのかもしれません。
また、下の顎(下顎骨)は、動くことができ、上下左右に自由に動かせるそうです。
この動きによって、食べ物をすり潰したり、砕いたりすることができるそうです。
上の歯が主に固定されているのに対し、下の歯は噛む動作の主体となるそうです。
この事から考えると、地支(=下の歯)には、固定された天干(=上の歯)とは異なり、顎の作用により「動ける」という固有の性質があるのかもれません。
つまりは、この「動き(変化?)」が地支の蔵干に繋(つな)がるのかもしれません。
ちなみに、「固定」の反対語は「流動」です。
天干は干が固定されていて、地支は干が固定されておらず流動的であると言うことなのかもしれません。
なぜ地支は複雑なのか
先ほど「地支=引力と斥力が織りなす複雑な世界」と解釈しましたが、実際に地支は天干より複雑です。
なぜなら、地支には天干が含まれていると四柱推命では考えるからです。
例えば、地支の「子」には天干の「壬」と「癸」が含まれていると考えます。
さらにややこしいことに地支にどのような天干がどのような重要度で含まれているかは、四柱推命の流派により異なります。
ただ、日本では、次のような蔵干(=地支に含まれる天干)が一般に流布しています。
- 子= 壬、 癸 を含む
- 丑= 癸、辛、己 を含む
- 寅= 戊、丙、甲 を含む
- 卯= 甲、 乙 を含む
- 辰= 乙、癸、戊 を含む
- 巳= 戊、庚、丙 を含む
- 午= 丙、己、丁 を含む
- 未= 丁、乙、己 を含む
- 申= 戊、壬、庚 を含む
- 酉= 庚、 辛 を含む
- 戌= 辛、丁、戊 を含む
- 亥= 戊、甲、壬 を含む
なお、上の太文字の干が主成分であると考えられていますが、生まれた月・日・時や四柱推命の流派よってどの天干が主成分になるかが変わります。
なお、私は、上の蔵干とは異なり、小山内彰(著)『基礎から最高峰を目指す 四柱推命の本』(上・下巻)(2019)(YouTubeあり)に記述されている蔵干を採用しています。