今回は、研究者の病気や健康について書いてみたいと思います。
若手研究者の病気
健康診断の思い出
若手研究者の内は、病気や健康について気にすることはあまりないかもしれません。
むしろ、やや健康を害してでも研究をしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
若手研究者も所属する大学や研究所の規定によって、年一回の健康診断が義務付けられていることが多いです。
私も同じ研究室の外国人研究者の方と一緒に、指定された施設に健康診断を受けに行った思い出があります。
そして、尿検査用の尿をぶちまけられた思い出があります。もちろん、わざとではなく、恐らく看護師さんの手がたまたま滑って、尿が床にこぼれ落ちてしまいました。
ただ、ほんの少し尿がカップに残っていたので、辛(かろ)うじて取り直しにはなりませんでした。
一方で、海外の大学(アメリカの大学)の場合は、健康診断が義務付けられていないことが多いと思います。
学生さんも大学教員もポスドクも、義務的に健康診断を受けさせられることはないと思います。もちろん、個人的に健康診断などを受けられている方はいらっしゃると思います。
一方で、建物(講義棟・研究棟含む)ごとに避難訓練は義務付けられていました。日本の大学では、いい加減に避難訓練をしていた私は、アメリカでも形式的なものだと思い、避難せずに研究していました。すると、教授から注意されてしまいました(厳密には「放送された英語が分からないのか」と笑われたのですが)。
海外学会から戻ったら高熱
私は、あまり風邪をひかないタイプで、2年か3年に1回ぐらいは熱を出すことがあるのですが、市販の薬を飲んで一日寝ていれば治ってしまいます。
ただ、一週間ぐらいの海外(アメリカ)の学会から帰って来て、直ぐに高熱を出したことがありました。
なぜ高熱を出したのか、1つ心当たりがありました。
私はその学会でポスター発表をしたのですが、あるアジア系の研究者の方が私の話を熱心に聞いて下さり、私もその方も夢中になって喋っていました。
しかし、両者の距離が近いことが少し気になっておりました。決して狭い学会会場ではなかったのですが、あまりに近距離で互いに話しており、相手の空気・呼吸が伝わって来る感じでした。
ただ、相手の方もアジア系の外国人の方で、会場もアメリカだったので、異国情緒に流されてしまい、海外ではこんなものなのかもしれないとその時は特に気に留めませんでした。
しかし、滅多に風邪をひかない私が学会から帰って来て直ぐに熱を出したことから、この時の濃厚接触が原因ではないかと私は思いました。(なお、この話はコロナ禍以前の話です。)
学会での話
もう1つ学会関連の話になりますが、ある学会で、私が発表を終え廊下に出ると、ある方が廊下でへたり込み軽い過呼吸なような感じなっていました。
ただ、私以外にも廊下には沢山の人がいたのですが、誰もその方に声を掛けようとはしていませんでした。
よくよく拝見すると、その方は先ほど発表をされていた方でした。
恐らく、学生ぽい方だったので、初めての学会発表で極度に緊張されてしまったようです。
後日、別の学会でも、その方がへたり込んでいるところをお見受けしたので、極度に緊張してしまう方なのだと思いました。
大抵の場合は、場数を踏むことで徐々に慣れて行くようですが、慣れとかそういう問題ではない場合もあるようなので少し注意が必要だと思います。
研究者の病気・ケガ
ご病気
ノーベル賞受賞者は、長生きだと真(まこと)しやかに囁(ささや)かれていますが、私の関連分野では、世界的に有名な教授の方と二人の准教授の方がご病気で在職中にお亡くなりになっています。
教授や准教授になられ、これからだという時に、ご病気のために未来を奪われてしまうことは大変残念なことだと思います。
私の知り合いの助教の方も、持病があります。
ある時、私が研究室で研究をしていると、廊下の方から「助けて―」と大声が聞こえました。
その時、私の研究室の隣は、実験の研究室で、割とワイワイやっている学生さんが多かったと記憶しています。
ゆえに、また学生さん達が「悪ふざけ」をしているのだと思い、特に気にしませんでした。なお、この時、私達の研究室には、私以外もにポスドクの方や学生さんが居ましたが、誰も特に気にしませんでした。
しかし、後々聞いた話によると、その時「助けて―」と叫んだのは、助教の方で、持病のために廊下に倒れてしまったようです。
そして、その助教の方を真っ先に助けたのが、隣の研究室の学生さん達だったとのことでした。
やはり、理論・計算系の研究室は何となく冷めていることが少なくないのかもしれません、色々と反省させられる出来事でした。
しかしながら、研究者、特に、助教のような若手研究者が持病をもってしまうことになると、大変だと思います。
若手研究者は自分が中心・主体となって研究成果を出さないといけないので、ご病気のためになかなか上手く研究を進められないとなると、将来的にはどうなってしまうのでしょうか。
そういう意味では、車椅子の物理学者・ホーキングは、天才的な研究者だったのだと思います。
難病にも屈せず、研究を続ける意志には感服せざるを得ません。
交通事故
私の知り合いの大学教員の方は、交通事故の後遺症のために、集中力が落ちてしまったようです。
一時期は、学生さんを研究室に所属されることもできない状況になってしまったようですが、徐々に後遺症は良くなって行ったのかもしれません。
今では、普通に私の分野において世界トップクラスの研究をしているような感じがします。ただ、実際のところは、本人にしか分かりません。後遺症にも負けず相当な努力をされているのかもしれません。
研究者にとって集中力が落ちるというのは、死活問題かもしれませんが、交通事故などの後遺症はどこまで補償してもらえるものなのでしょうか。
天才的なスポーツ選手の方でもケガで選手生命を絶たれてしまうこともあるので、人間の運命とは何とも儚(はかな)いものだと思います。
私も、卒業発表会の前日(当日)に非常に軽い交通事故に遭いました。
明日は卒業発表会ということで、深夜まで大学で発表の準備をし、自転車で帰宅したのですが、黒い車が私の自転車の後部をわざと擦(こす)って来たような感じがしました。
私は、たちまち衝撃で自転車から放り出され、強く尻もちをつく感じになりました。明らかに黒い車が悪い感じで、周りに居た方が警察を呼ぼうと言いましたが、私は明日発表会なので大事にはせず直ぐに帰宅しました。
なお、その黒い車は何事もなかったかのようにその場を走り去っていました。
結局のところ、大した事故ではなかったのですが(尾てい骨がしばらく痛かっただけですが)、卒業発表会のような大事な日の前日に限ってトラブルが起こるものなんだなぁと実感しました。
普段と違うこと(深夜まで大学に残る)をやると、予期せぬこと(悪いこと)が起きることもあるということでしょうか。