今回は、研究ばかりしていることのデメリットを紹介します。
世間知らずになる
研究ばかりしていると、ほとんどの時間を研究に費やしてしまうので、世間知らずになることもあると思います。
例えば、
- 運転免許証を持っていなかったり
- 自炊(料理)が出来なかったり
- あまり選挙に行かなかったり
- 税金関係のことを親に任せきりにしたり
- バイトの経験がなかったり
- 就職活動をしたことがなかったり
します。
ただ、博士課程の学生や若い研究者は、多少世間知らずになろうとも、とにかく良い研究成果を出したいものなのだと思います。
良い成果を出せば大学教員になれるとかそういう野心的なことよりも、何か挑戦的なまたは腕試し的な勢いで研究に取り組んでいる若手も少なくないような気がします。
運動をしなくなる
研究ばかりしているので、運動をしないことも多くなると思います。
ただ、研究室対抗のスポーツ大会に参加したり、研究室にスポーツ好きな人がいると運動する機会も増えたりします。
また、研究者の場合は、気分転換に長い散歩に出かけたり、登山好きな人も多いような気がします。
また、学会などで遠出した際には、学会会場の周辺地域を探索・散歩したりすることもあります。
なお、研究者は本格的には運動していないことが多いと思いますが、太っている人は少ないような気がします。特に、若い研究者はそのような傾向があるような気がします。
ちなみに、私は毎日30分ぐらい運動することを続けています(散歩ではありませんよ)。
研究していないと不安になる
研究者の世界は1番の人だけが高く評価される世界であるため、研究競争が熾烈なこともあります。
研究ばかりしていると、ライバル研究者も研究ばかりしているに違いないと思ってしまい、先を越されるのではないかと不安になってしまうこともあるようです。
ある博士課程の学生の方は「学会への移動中しかほっとできない」と言っていました。
つまり、移動中意外は研究のことが気になってしまうということなのだと思います。
なお、ライバルがいないようなオリジナリティ(独創性)の高い研究をすれば良いのかもしれませんが、そのような研究にはそのような研究でまたリスクがあります。
しかしながら、いずれにしてもリスクがあるならば、オリジナリティの高い研究を目指した方が面白いことが起こる確率が高まると思います。
やはり、オリジナリティの高い研究をやっている研究者は魅力的です。
後輩の面倒を見るように言われる
研究ばかりしていると、「後輩の面倒を見るように」と教授から注意されることもあります。
ただ、これは研究分野や研究室の方針によるところが大きいです。
例えば、海外の研究室では、「後輩の面倒を見るように」と教授から注意されることはほぼないかもしれません。
なお、大学教員を目指されている方は、教授からの要望にはなるべく素直に応じた方が良いかもしれません。
指導教授からの人物評価書(推薦書)は、大学教員になる際にとても重要になります。特に最近は、本人の研究能力とは関係なく、大学組織や教授に従順な人が好まれる傾向にあるような気がします。
ちなみに、やる気のない後輩の面倒を見るのはなかなか大変です。そのような後輩でもそばに居て丁寧に教えている時は食付いて来てくれるのですが、少し放っておくと研究しなくなります。
なお、その学生さんは他の研究室に入りたかったようです。
趣味が映像を見るぐらいになる
研究ばかりしている人にとって、研究は仕事というよりは趣味に近い感じであるためか、趣味よりも研究してしまうことが多いようです。
若い研究者に多いことかもしれませんが、研究に多くの時間や体力を使っているので、研究を終えると(帰宅すると)、ぼーっとテレビ・映画・アニメ・YouTubeを見ることぐらいしかしない人もいるようです。
研究者で読書が趣味という方は少ないかもしれません。普段から論文や専門書を読んでいるので、家に居る時は、字を読みたくないという感じなのかもしれません。
なお、研究でも仕事でも「やらされている感」が強いと、後々になって研究(または仕事)ばかりしていたことに後悔したり不満が出て来るようです。
つまり、自分の時間を教授や会社に奪われているような感覚になるのだと思います。
研究を妨げるものに敏感になる
研究ばかりしていると、研究を妨げるものに敏感になってしまうこともあるようです。
例えば、大学のメンテナンスや工事などの関係で、
- ネットや電気が使えなかったり
- エレベーターが使えなかったり
- 研究室自体が使えなかったり
することがあります。
また、大学入試の関係で、大学に入構するのが面倒になることがあります。
また、研究室に虫や鳥が入ってきたりします。
また、学園祭やオープンキャンパスなどで、沢山の人が研究棟に押し寄せることがあります。
なお、コロナ禍の影響で、実験系の研究者の方は、実験を思うように進めることができなくなってしまったようです。一方で、理論系の方は、それほど影響を受けなかった方もいらっしゃるようです。
補足
研究ばかりすることは可能か
研究ばかりしていることのデメリットを紹介して来ましたが、実は、研究ばかりできる時期は限られています。
学生の時や若手研究者(ポスドク)の時は、研究ばかりすることも可能ですが、大学教員になると研究以外の仕事や教育関係の仕事があります。
なお、理化学研究所などのような公的研究機関の研究員の方でも、それなりの年齢や立場になると、研究ばかりという訳にはいかないようです。
企業の研究者の方も、同様なのだと思います。
研究ばかりして飽きないのか
私も学生の時に、大学教員の方は研究に飽きないのかと疑問に思ったことがありました。
確かに、研究に飽きてしまった研究者の方もいらっしゃると思います。
そのような方は研究職を離れ、違う業界・分野で活動・仕事されているようです。
ただ、飽きない方もいらっしゃいます。
研究でも仕事でも、ある種の中毒性があるのかもしれません。
特に、研究は、次から次へと新しい成果が世界中の研究者から報告されたり、新たな展開や方向性が現れるところがあるので、一度ハマってしまうとハマり続けてしまうのかもしれません。
恐らく、研究に飽きない方は、自ら挑戦する心(オレがやってやるぞという心)をいつまでも持ち続けている方なのだと思います。
研究ばかりしている人はあまり研究しない人をどう思うのか
仕事では、仕事ばかりしている人は、仕事以外のことも大切にしている人のことをあまり理解できないこともあるようです。
それでは、研究ばかりしている人は、あまり研究に積極的ではない学生をどのように思っているのでしょうか。
恐らくは、多くの場合、特に何とも思っていないと思います。
世の中には色々な人がいるので、研究が好きではない人もいるのだろうなとしか思っていないと思います。
強いて言うならば、研究の邪魔だけはしないでくれと言ったところでしょうか。
ただ、大学教員は、立場上、どの学生にも研究を一生懸命やってもらいたいと考えていることが多いと思います。
たとえ研究者にならなくとも、一生懸命に研究することで、研究者のもつ思考法やスキルなどを1つでも掴(つか)んで欲しい(または盗んで欲しい)と思っているのかもしれません。