今回は、五行論の「剋(こく)」を簡単に解釈してみたいと思います。
五行論の相剋関係

五行の相剋関係につきましては、以前の記事で説明していますので、そちらをご覧下さい。
剋される者(火の立場)
例えば、上図のように「火」は「水」に剋(こく)されます。
「火」は「水」を直接には剋せませんが、「火」が相生した「土」は「水」を剋すことができます。
つまり、「やられたらやり返す」のではなく、やられたら何かを生み出す事によって(=何らかの行動・発信・相談をする事によって)間接的に相手を剋し返すのが良いと言うのが五行論の解釈になると思います。
五行論的には「やられたらやり返す」は真の解決にはならない(自然の摂理ではない)と言うことだと思います。
自分が相談した(相生した)第三者に相手を剋してもらうのが良いようです。
ただ、残念なことに「剋されている者」が「何らかのモノを生み出す(相生する)」のは、困難であると考えられています(「剋」の一般的な性質より)。
しかし、「剋されている者(火)」を扶(たす)けてくれる「印(木)」や「比劫(火)」があれば、剋されている中(=抑え付けられている中)でも「何らかのモノを生み出す(相生する)」ことが可能になるかもしれません。
なお、ChatGPT-o1によると、「やられたらやり返す」という考え方には次のデメリットがあるそうです。
1. 感情が先行し、冷静な判断を失いやすい
「やられたらやり返す」という感情的な反応は、その瞬間に抱いた怒りや悔しさに突き動かされがちです。人は感情的になっているとき、視野が狭くなり、結果として望まないトラブルを招いたり、取り返しのつかない行動をとってしまうことがあります。
2. 悪循環を生む可能性がある
仕返しをすると、今度は相手も「やられた」と感じ、再びやり返したくなるかもしれません。そうして互いに仕返しし合っていると、いつまで経っても対立が解消されず、気づけば感情のすれ違いがますます大きくなるという悪循環に陥るリスクがあります。
3. 真の問題解決に繋がりにくい
「やられたからやり返す」という行動は、一時的な鬱憤晴らしにはなるかもしれませんが、問題の根本的な原因に向き合っていないことが多いです。たとえば、相手とのコミュニケーション不足や誤解、あるいは組織や環境そのものの問題が原因で衝突が起きているかもしれません。真の解決のためには、冷静な話し合いや協力、周囲に相談するといった別のアプローチが必要となります。
4. 自分にとってもマイナスを生む
仕返しをすることで一時的にスッキリする可能性はありますが、その後に罪悪感を抱いたり、さらなるトラブルに巻き込まれたりして精神的・物理的に負担が増すこともあります。特に大きな争いに発展した場合、自分の大切な人や仕事、評判なども巻き込まれてしまうかもしれません。
すると、親の仇(かたき)をその子供が討(う)つと言うのは、五行論的には有りなのかもしれません。
また、たとえ日本が「ある国の支配者層の一部」に剋されていたとしても(=抑え付けられていたとしても)、ある国を直接的に剋し返してはならないと言うことだと思います。
(実際に日本は戦争に負けました。)
日本が生み出す「何らかのモノ(文化・精神・技術・和・価値観?)」によって、「ある国の支配者層の一部」を剋してもらうのが五行論的摂理であると言うことになると思います。
(実際に日本は経済力である国を剋し返したことがありました。)
(余談ですが、日本=癸、「ある国の支配者層の一部」=丙のような気がして来ました。)
剋す者(水の立場)
逆に、「水」は「火」を剋して、いい気になっていても、その内に、「火」から生み出された「土」によって(「火」と深い関係があり「火」が可哀(かわい)そうだと思う「土」によって)剋されてしまうという事態が待っている可能性があるということになります。
悪事を働いても何の罰も受けずに済んでしまった者は、7代に渡ってその子孫が罰を受けるという話があるそうです。
「水」が「火」(財)を手に入れるには、直接的に「火」(財)を剋そうとはせずに、「木」(食傷)を上手く使うことが良いと言うのが五行論の解釈になると思います。
つまりは、自分の「好きな事」や「やりたい事」または「新たな価値を生み出す事」によって、財を手に入れる(=火を制御・支配する)のが五行論的には自然な流れであると言うことになります。
ビジネスで成功した方が芸術を求めると言う話があります。
投資のためと言う考えもありますが、あまりやりたくない事をやって財を得た方(=食べるために財を得た方)には、心の空白ができ易いようです。
その心の空白を埋めてくれる物の一つが芸術になることがあるようです。
なお、食傷には、「センス、美意識、芸術、技術、職人、遊び心、閃(ひらめ)き、アイディア、創作、やりたい放題、子供っぽい、自由な精神、発散、サービス精神、速い」などの象意があります。
つまり、五行論的には、成功者(比劫→財)が芸術を求める理由は、「比劫→食傷→財」の自然な流れを仮想的にも心の中で作り出したいからと言えるかもしれません。
天干の流れが良い命式
最後に、天干の流れが良い命式(八字)を2つ紹介します。
1つ目は次の命式です(「比劫→食傷→財」の流れ)。
- 時 日 月 年
- 〇 比 食 財
- 〇 〇 〇 〇 比=比劫の略、食=食傷の略。
地支にもよると思いますが、この命式の方は、「やりたい事」や「好きな事」または「新たな価値を生み出す事」をやって、財を得たり、目標を達成したり、システムを形成したりする可能性があると思われます。
2つ目は次の命式です(「官殺→印→比劫」の流れ)。
- 時 日 月 年
- 〇 比 印 官
- 〇 〇 〇 〇
地支にもよると思いますが、この命式の方は、家系(先祖・家族)や社会(地域)からの役割(お役目)を運命付けられており、その教えや恩恵を上手く活かして社会で活躍する可能性があると思います。
なお、地支の流れが良い場合は研究中です(小山内流の地支ですが)。地支の場合は流れが悪い場合に特徴的な事象が現れ易いような気がします。